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広島地方裁判所 昭和43年(わ)255号 判決 1969年5月13日

本店所在地

広島県安芸郡矢野町二五番地の二

津丸人毛株式会社

右代表者代表取締役

津丸鉄儀

本籍

広島県安芸郡矢野町一二一七番地

住居

同県同郡同町二五番地の二

会社役員

津丸鉄儀

大正六年三月五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官曾根正行出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社津丸人毛株式会社を罰金二、五〇〇、〇〇〇円に、

被告人津丸鉄儀を懲役六月に

それぞれ処する。

被告人津丸鉄儀に対しこの裁判確定の日から二年間

右刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを被告会社津丸人毛株式会社および被告人津丸鉄儀の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社津丸人毛株式会社(以下「被告会社」という。)は、広島県安芸郡矢野町二五番地の二に本店を置き、人毛および獣毛の原料ならびに加工品販売等を営業の目的とする資本金一五〇万円(昭和四二年三五〇万円に増資)の株式会社であり、被告人津丸鉄儀は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人津丸は被告会社の業務に関し、所定の法人税を不正に免れる目的で売上の一部を除外して偽名預金とし、あるいは決算書類において仕入れを仮装した架空の買掛金を計上する等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一、被告会社の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が別紙(一)の1および2のとおり少なくとも二五、九九一、三七四円であり、これに対する法人税額が九、六九〇、九〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四〇年五月三一日所轄海田税務署長に対し、その所得金額が一、五三七、九二四円で、これに対する法人税額が四七四、五〇〇円である旨を記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度における法人税九、二一六、四〇〇円を免れ、もつて詐偽その他不正の行為により法人税を免れ、

第二、被告会社の昭和四〇年四月一日から昭和四一年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が別紙(二)の1および2のとおり少なくとも二七、九八四、四六九円であり、これに対する法人税額が一〇、一四一、七〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四一年五月三一日所轄海田税務署長に対し、その所得金額が三、〇七七、一一三円で、これに対する法人税額が九三一、三七〇円である旨を記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度における法人税九、二一〇、三三〇円を免れ、もつて詐偽その他不正の行為により法人税を免れ

たものである。

(証拠)

一、被告人津丸の当公判廷における供述

一、被告人津丸の検察官に対する供述調書

一、同被告人の大蔵事務官に対する質問顛末書八通

一、同被告人作成の上申書二通

一、木内史郎、金沢茂行、岡田正夫、貞森克己および中畠義一の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、矢野町農業協同組合組合長理事本田司郎各作成の普通貯金元帳写、定期積金元帳写、定期貯金元帳写および日掛貯金元帳写

一、矢野町商工会会長石突章作成の証明書

一、広島銀行矢野支店支店長代理貞森克己ほか一名各作成の定期積金元帳写、通知預金元帳写、定期預金元帳写および商業手形手形貸付元帳写

一、広島銀行矢野支店作成の「津丸人毛(株)に係る預金取引状況報告の件」と題する書面

一、商工組合中央金庫広島支店支店長山内辰雄各作成の証明書添付の証書貸付元帳写および保護預り元帳写

一、広島県厚生信用組合坂支店支店長住田陽三作成の証明書添付の定期積金元帳写

一、山口相互銀行海田支店支店長中村厚道作成の証明書添付の定期積金元帳写および定期預金元帳写

一、広島信用金庫海田支店支店長西村鉄雄作成の証明書添付の定期預金元帳写

一、広島信用金庫海田支店支店長渋下輝夫作成の証明書添付の手形割引契約台帳写、割引手形元帳写、手形貸付元帳写、定期積金元帳写、普通預金元帳写、通知預金印鑑票写および定期預金印鑑票写

一、羽田美幸作成の上申書

一、深谷佐一作成の証明書添付の株主台帳写、決算書写および配当明細表写

一、西田一雄作成の証明書添付の売上元帳写

一、正守ヤスヨ作成の証明書添付の売掛帳写

一、高畠源次作成の上申書

一、田中勝作成の証明書添付の売掛帳写

一、広島人毛工業協同組合作成の売掛帳写

一、株式会社スカルメント作成の証明書

一、乾憲夫作成の売掛帳写および買掛帳写

一、川村勝美作成の上申書

一、広島相互銀行海田支店支店長平櫛実太郎作成の各証明書添付の普通預金元帳写、当座預金元帳写、相互掛金元帳写、定期預金元帳写、積立定期預金元帳写、商手入金元帳写、相互掛金元帳裏面写および定期預金の伝票写

一、野村証券投資信託販売株式会社広島支社長山口俊人作成の証明書添付の保護預り明細簿写

一、東海銀行広島支店支店長野倉実作成の証明書添付の積立預金元帳写および訪問カード写

一、三和銀行広島支店支店長萩原義典作成の証明書添付の計画預金元帳写、定期預金元帳写、当座勘定元帳写および商業手形記入簿兼依頼人元帳写

一、中小企業退職金共済事業団経理部長西島重任作成の回答書

一、東賢一作成の上申書

一、伊藤寛作成の証明書添付の売掛元帳写

一、亀田商店作成の回答書

一、黒田登作成の上申書

一、牧功作成の証明書添付の売掛金元帳写

一、関伯作成の上申書

一、山岡明作成の「取引内容について(回答)」と題する書面

一、佐藤正尚作成の上申書

一、鈴木隆司作成の証明書添付の売掛帳写

一、国民金融公庫広島支店支店長津国英三作成の証明書添付の貸付金元帳写

一、小林英一作成の上申書

一、木村三郎作成の上申書

一、深谷佐一作成の上申書

一、上野益一郎作成の証明書添付の売掛金元帳写および前受金元帳写

一、重政庸吉作成の証明書添付の売掛元帳写

一、坪川蔵之助作成の証明書添付の買掛帳写

一、西谷実郎作成の回答書

一、玖村芳男作成の証明書添付の売掛帳写および取引内容写

一、優美商会の買掛帳写

一、広島銀行矢野支店作成の第六二回平和定期預金記入帳写

一、被告会社の登記簿謄本

一、押収してある売上帳七冊(昭和四三年押九六号の一ないし七)

一、押収してある仕入帳七冊(同押号の八ないし一四)

一、押収してある銀行勘定帳一冊(同押収一五)

一、押収してある手形受払帳一冊(同押号の一六)

一、押収してある納税関係綴一綴(同押号の一七)

一、押収してある領収書綴一綴(同押号の一八)

一、押収してある源泉所得税徴収簿兼賃金台帳一冊(同押号の一九)

一、押収してある売掛帳一冊(同押号の二〇)

一、押収してある税務申告書綴一綴(同押号の二一)

一、押収してある取引先カード四枚(同押号の二二)

一、押収してある通知預金記入帳一枚(同押号の二三)

一、押収してある当座預金元帳一綴(同押号の二四)

一、押収してある普通預金元帳一綴(同押号の二五)

一、押収してある定期預金元帳一綴(同押号の二六)

一、押収してある商業手形依頼人元帳一綴(同押号二七)

一、押収してある手形貸付明細元帳一綴(同押号の二八)

一、押収してある貯金元帳四枚(同押号の二九)

一、押収してある貸付金元帳一枚(同押号の三〇)

一、押収してある普通預金元帳三枚(同押号の三一)

一、押収してある定期預金積金元帳一綴(同押号の三二)

一、押収してある貸付金元帳四枚(同押号の三三)

一、押収してある法人税決議書綴一綴(同押号の三四)

一、押収してある所得税申告書綴一綴(同押号の三五)

一、押収してある売掛帳のうち津丸分一枚(同押号の三六)

一、押収してある売上記載用紙二枚(同押号の三七)

一、押収してある仕入記載用紙四枚(同押号の三八)

一、押収してある資産譲渡物件売買誓約書一通(同押号の三九)

一、押収してある物件売買誓約書一通(同押号の四〇)

一、押収してある土地建物賃貸契約書一通(同押号の四一)

一、押収してあるメモ一綴(同押号の四二)

一、押収してあるメモ一枚(同押号の四三)

一、押収してある約束手形五通(同押号の四四ないし四六、四八および四九)

一、押収してある為替手形三通(同押号の四七、五〇および五一)

一、押収してある通帳四冊(同押号の五二ないし五五)

一、押収してある振替伝票綴(同押号の五六)

一、押収してある納品書綴一綴(同押号の五七)

(法令の適用)

被告人津丸の判示第一の所為は法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則二条、一九条により旧法人税法(昭和二二年法律二八号)四八条一項に、判示第二の所為は法人税法(昭和四〇年法律三四号)一五九条一項にそれぞれ該当するところそれぞれその所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段により併合罪であるので同法四七条本文、一〇条により情状重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、

被告会社については、その代表者である被告人津丸が被告会社の業務に関して判示第一および第二の違反行為をしたものであるから、判示第一については法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則二条、一九条により旧法人税法(昭和二二年法律二八号)五一条一項を適用して旧法人税法四八条一項所定の罰金刑を、判示第二については法人税法(昭和四〇年法律三四号)一六四条一項を適用して同法一五九条一項所定の罰金刑をそれぞれに科し、以上は刑法四五条前段により併合罪であるので同法四八条二項により各罪につき定めた罰金を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金二、五〇〇、〇〇〇円に処し、

訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文によりその二分の一ずつを被告人津丸および被告会社に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 神垣英郎)

別紙(一) 貸借対照表

(昭和40年3月31日現在)

<省略>

別紙(二)の一 貸借対照表

(昭和41年3月31日現在)

<省略>

(別紙(二)の2に続く)

別紙(二)の二 貸借対照表

(昭和41年3月31日現在)

<省略>

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